長崎地方裁判所 昭和61年(わ)342号 判決 1987年1月22日
本店所在地
長崎県西彼杵郡琴海町尾戸郷四〇四番地
深江真珠有限会社
右代表者代表取締役 深江久和
本籍
長崎県西彼杵郡琴海町尾戸郷四〇四番地
住居
右同所
会社役員
深江久和
昭和一九年五月一一日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官大脇通孝出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人深江真珠有限会社を罰金八〇〇万円に、被告人深江久和を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人深江久和に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人深江真珠有限会社(以下、「被告会社」という。)は、長崎県西彼杵郡琴海町尾戸郷四〇四番地に本店を置き、真珠養殖等の業を営む会社であり、被告人深江久和は、被告会社の代表取締役として、その事業全般を統括しているものであるが、被告人深江は、被告会社の右業務に関し、法人税を免れる目的をもって、同会社の売上げの一部を除外し、仮名の定期預金としてこれを預け入れあるいは無記名割引債権を購入するなどの方法で所得を秘匿した上、昭和五九年三月一日から昭和六〇年二月二八日までの事業年度において、被告会社の実際所得額は、一億〇〇八七万六六四五円で、これに対する法人税額は、四二三三万五三〇〇円であったにもかかわらず、同年四月二六日、同県長崎市松が枝町六番二六号所在の長崎税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は、一四九三万四九六二円であり、これに対する法人税額は五一七万七二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額三七一五万八一〇〇円の法人税を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人深江久和の当公判廷における供述
一 被告人深江久和の検察官に対する供述調書
一 被告人深江久和の大蔵事務官に対する質問てん末書九通
一 被告人深江久和作成の大蔵事務官に対する上申書
一 深江みや子、鹿谷芳男の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 被告会社の商業登記簿謄本
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書
一 押収してある昭和六〇年二月期分確定申告書一綴(昭和六一年押第七〇号符1)
(法令の適用)
被告会社及び被告人深江久和の判示所為は、法人税法一五九条一項(被告会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、被告人深江久和については所定刑中懲役刑を選抜することとし、被告会社については免れた法人税額の範囲内において罰金八〇〇万円に、被告人深江久和についてはその所定刑期の範囲内で懲役一年にそれぞれ処し、被告人深江久和に対し刑法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 玉城征駟郎)